こんにちは!
今回は、長年の憧れが「今では車で15分!」と言う夢の立地条件へ永住した、テスターの山田です!
長年の憧れとは、ズバリ渓流。
千葉在住中は、なかなか行けなかった渓流。
我々、【釣りキチ三平】世代にとって、渓流とはシャングリラ。
イワナ=幻
ヤマメ=絶対に合成写真やろ?
ニジマス=回転寿司で回ってるヤツの……ナンだ……アレだな。
と、言うレベルの私も渓流を始めて2年。
今では憧れの釣りを全身で満喫しております。
一ヶ所ずつマップを見ては必死にポイントに降り立ち、投げてみては考え、自然を感じ、その一部になる感覚に浸る。
無知ながらも自分なりに楽しませてもらっています。
前シーズンには、幸せな事に尺イワナにも数回出逢えたのですが、2回程明らかにソレとは違う想定外の大型魚に秒殺された苦い経験が有りました。
その他に、大型の魚の後に小さな魚が数匹並んで泳いでいるのも目撃している。
「アレはいったい何だったんだろう?」
シーズンオフ中も、その疑問が頭から離れる事はありませんでした。
「今年こそ、姿を見たい」
ソレがテーマの1つの今年。
偶然にも平日に休みが取れた。
ステアリングは無意識に山を目指していた。
クリスタル ウォーター。
澄んだ沢の水は予想より冷たかった。
せっかくだから初めてのポイントへ。
勿論、大好きなBeams blancsierra3.9UL Limitedを携えて。
「もしかしたら、この辺にも【奴】は居るかも知れない」
漠然とそんな事を考えながら。
その沢に立ち、しばらくして目が慣れてくると10cmくらいの小魚の姿がアチコチに見えて来た。
「こんな所まで登ってくるんだ。。。」
今年は稚鮎の遡上が良いとニュースでも言っていたな。
しばらく愛らしい稚鮎の姿を眺めている。
何度も何度も激流を飛び、懸命に登っていく。
沢を目指す魚達は本当に強くて美しい。
なんだかんだで、少し渓流はブランクが空いてしまった。
感触を思い出す為にショートレンジでキャストを繰り返していく。
「なるほど。稚鮎はルアーを通すとこんな反応なのか」
なんて事を思いながら少しずつ沢を登って行く。
ロケーションと稚鮎に癒されながら、「別に釣れなくても良いか」なんてモードになってきた。
実はこの時【奴】の事は少し諦め始めていた。
ショートレンジのフリップキャスト。
段々と、ミドルレンジのピンにもルアーが決まり始める。
3.9Limitedはキャストしていて、本当に気持ちが良い。
たとえ釣れなくても、キャストしているだけで楽しいロッドって、実はなかなか巡り会えるものではない。
そして物語は、開始からそう時間が経たないうちに突然始まった。
何せ初場所。目に入る岩陰は全部撃ち潰して行く。
エントリーから30mくらいの場所に、この日最初の1番大きな落ち込み。
先ずはその1番強い流心へルアーをキャストする。
まあまあ、良いポイントに落とせた。
すぐさま、ショートシャークを入れる。
1回。
2回。
3回。
よん。。。!!!!!
4回目のジャークの感覚が、何かに打ち付けられたかのように、鋭く止まる。
その直後、あり得ない程重くなった!
「!!!!!?」
瞬間、何が起きたのか理解出来なかった。
しかしコンマ数秒後、ルアーが有る筈の流心で深紅のラインが鈍く光った。
取り敢えず、ロッドを立てるしか無い。
次の瞬間、あり得ない、想定外の大きさの魚影が浮かぶ。
その背中にはとても鮮やかなブラウンとブラックの斑点が見えた。
「なんだ!?この魚雷みたいな魚は!?」
現状で此処に居そうな、知りうる魚を考える。
ヤマメ ×
イワナ? 赤いラインだから×
まさか…ニジマス!?
コレが「奴」の正体だったのか!?
そんな事考えてる間にも、とんでもないパワーで3.9Limitedを文字通り”ぶち曲げ”て行く!
こんなベンドした3.9は自分でもした事ない(笑)
「ヤバイ。マジで折られる」
こんな事くらいでは折れる筈はないのだが、ラインブレイクが心配だ。
実際、ロッドベンドは限界だ。
体長も想定外だったが、それよりも体高の太さよ。
恐らくニジマスなのだろうが、私の知っているニジマスの太さでは無い。
ロッドから伝わる重さや引きからも、今、とんでもない奴と戦っているのが伝わって来た。
ドラグをズルズルまで緩める。
止める時はスプールを押さえればいい。
コイツは強引に寄せられる代物では無い。
持久戦を選択する。
「何十分掛かろうが、絶対に獲ってやる!」
だけど強い!このファイトは、まるで暴力だ!
岩に突っ込もうとする【奴】を止める事が出来ない。
岩に接触する瞬間だけ、テンションを掛けて寸前の所で頭の向きを変える。
実際、それ以上の負荷をラインに掛けるのは危険だと判断した。
そんな事を知ってか知らずか、お構いなしに【奴】は何度も何度も岩へ突っ込んで行く。
グギッ!グッ!グッ!グッ!グッ!
岩にリーダーが擦れる感触が伝わった。
「……!!」
今のはヤバかった…。
ラインが擦らない様に、自分も流れの中に入り、ライン角を確保する。
【奴】が下流へ走れば一緒に下流へ走る。
上流へ走れば、上流へ。
「恐らく、全力で下流へ走られたら終わる。。。」
下流へ走られた時だけは、コッチも全力で【奴】より下流へ先まわりして、人的プレッシャーを与え下流への逃走をプロックする。
実はコレはウェーディングのリバーシーバスで培ったテクニック。
それでもまだだ。
未だに鬼神の様なパワーで抵抗を続ける。
「……クッ!」
まだまだ。
「……ン!」
まだ。
「………まだか?」
まだまだ。
「…………も、もう許して下さい…」
まだまだ。(笑)
なんて奴だ…………
ランカークラスのシーバスでさえ、こんな粘るファイトはしないぞ。
しかし、次第にコッチにアドバンテージが出始めた。
だが、まだラインを引き出して行く。
そのランの距離が少なくなって来た。
ようやく、ランディング可能な状態まで耐えた。
「勝ったのか?」
だが、獲るまでは気は抜けない。
ネットで獲るか?
ずり上げるか?
ラインやフックの消耗を考えると、ずり上げは危ない。
入りきれないだろうが、イチかバチかネットを使うしか無い。
【奴】はネットを見るや、再び何度もランを試みる。
「まだ、こんな力が残ってるのか。。。」
ネットを構えてからも、数回の攻防を繰り返す。
そして…………遂に…………
「入った………。」
その巨体がネットに入った。
(案の定、油ビレ辺りまでしか入ってないが)
なんてウエイト!
なんて大きさ!
そして、なんて……なんて美しさなんだ………。
達成感と、その美しさにしばらくその場から動く事が出来なかった。
こんな綺麗な魚は見た事がない。
こんなファイトをされた事も無い。
こんな魚がいた事が、未だに信じられない。
こんな小さな川なのに。。。
Wild trout
モンスターレインボー 52cm 1.9kg
If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive.
If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.
「タフでなければ生きて行けない
優しく無ければ生きていく資格は無い」
昔の小説でそんな台詞が有った。
生き抜く力はこの姿を見れば言わずとも解る。
そして、そのタフさはまさに折り紙付きだ。
しかし、こんな小さな沢で種族として生き抜く為に、コイツは仲間達を引き連れ、時には守り、自分の種族を守っているんだろう。
アウェイが故の苦労は何となく自分にも理解が出来る。
ふと、前に見た魚達の群れの事を思い出してそんな事を思い描いた。
thank you ….. Wild.
Hope to see you again !
労う様に【奴】の頭を2、3回撫でてみる。
今日も、沢は強く、優しく流れ続けていた。
【タックルデータ】
ロッド:Beams blancsierra3.9UL LIMITED(Fishman)
リール:カルカッタコンクエストBFS(SHIMANO)
ライン:ピットブル8+0.4号(SHIMANO)
リーダー:BORDEAUX RED0.8号(TICT)
ルアー:蝦夷type2(イトウクラフト)
フィールド:福井県
魚種:ワイルドレインボートラウト
アングラー:山田大輔
【着用アイテム】
アパレル:防虫クイックドライパーカー(Fishman)
→https://fishman.shop-pro.jp/?pid=152506687
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